介護情報

遠距離介護家族の老人ホーム探し。ダメでもTRY!TRY!TRY!

実際に遠距離介護中の、父とムスメさんの話です。

有料老人ホーム探し。
体験入居を繰り返しても、
当のお父さんの判断は、

「ダメ施設」
「ボツ判定」

ばかり。

次々に『ダメ施設』の山が築かれていきます。

 

そんな、先行き不安な空気の中、
ムスメさんから届いたメールは
『TRY!TRY!TRY!』

 

その、ポジティブシンキングに
こちらも元気が湧きます!
今日は、そんなケースをご紹介します。

 
そろそろ、
自宅での一人暮らしが不安な
90歳の男性。
介護度は1。
認知症はありません。

 

娘さんが遠方に在住のため、
傍目からみても、
自宅での一人暮らしは心配です。

 

先日、退院したばかりの病院の主治医にも、
施設入居を勧められています。

 

お父さんご本人も、
「一人暮らしはもう限界かな・・・」
と自覚しているご様子なのに、

いざ、
有料老人ホームのお試し入居をしてみると、
どこも希望に合わず・・・。。
結果は『ボツ!』

 

条件は、
お酒が飲めて、タバコが吸えて、自由に外出できて、
ご飯が美味しくて、
持病が多いご本人の医療面のフォローも期待できる施設。

 

さらに、
ご本人に認知症がないので、
介護度の軽い方の割合が多い施設をご希望です。

いやいや・・・・。
なかなか難しいです。

 

介護付老人ホームででケアがしっかりしている施設は、
入居者の介護度が高いので、
ご本人にとっては、
「こんなボケた奴ばかりの中にいられるか!」
って事で、

「ボツ判定」でした。
ここでは、
会話を楽しめそうなお相手も期待できません。

 

じゃあ、

比較的お元気な方が多く入居されている
住宅型老人ホームはどうかというと、
ご本人的には、
「スタッフの気がきかない」
って事で
またもや「ボツ判定」
・・・・(^◇^;)

 
認知症がなくて、
頭はしっかりされている方なので、
施設スタッフの不手際も、
しっかり覚えてくれています!

 

そこは都合よく忘れてはくれません(^◇^;)
もちろん、
目をつぶってスルーしてもくれません>_<

 

じゃあ!!
と、
そのどちらにも、
バランスの取れた別の施設にトライ。
結果はどうだったのかというと、

 

「食事が貧相すぎる!」
で、
「ボツ」
他の条件は合格点だっただけに、
これには、
ムスメさんもガッカリ。

 

そんなこんなで、
体験入居をする度に、
ご本人にとっての要望が増えていきます。

 

経験してみた分だけ、
潜在するニーズが明確になるのです。

 

それだけ、
ご本人もムスメさんも、
そして、
サポートする私も、
事前に想定できなかった事があるという事です。

 

でも、
その程度の介護度なら、
自宅でも暮らせるのでは?

と思われがちですが、

持病が多く、
絨毯はタバコの焼け焦げだらけで、
一人暮らしは危なっかしい感じなのです。

 

そこが、
遠距離介護の悩みどころですね。

 

なにより、ご本人自身も、
一人暮らしを続ける自信はなさそうです。

 

遠方で暮らしている娘さんの体力も限界。
1週間交代で、
自宅と、実家の2重生活では疲労も溜まります。

 

サポートしている私は、
だんだん、
なんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。

 

もっと、
ご本人の希望にピッタリな施設を
提案できなかったのだろうか?
とか、
施設側への根回しや情報提供や、
事前のリサーチでトラブルを回避できなかったのだろうか?
とか・・・・>_<

 

自分に 『ダメ判定』なムード。

そんな時、
娘さんから届いたメール。

 

『TRY!TRY!TRY! ダメでもともと!
そう思ってやってみるしかないね!』

 

でした!!!

なんとうポジティブシンキング!!

本当に素敵です!!

 

また、キラッと光が射して、

 

「よし!私も頑張らないと!」
と力が湧いてきます。

 

ちょっと、
冷静に考えてみましょう!

 

目の前の
ダメ判定」の山をみて、
「シクジリ」と思うのは、
とんだ勘違いです。

それは、
ミスマッチだったというだけのこと。

 

トライした疲労感や
上手くいかなかった残念感や、
思うようにいかないイライラはあるだろうけれど、

「シクジリ」ではないと、
考えたいです。

 

本当のシクジリは、
お父さんにとっては
「ダメ判定」なのに、
無理して、
我慢して、
入居してしまい、
自分が下した判断を、
「後悔」
する事ではないでしょうか。

 

当たり前の事ですが、
そこで暮らしていくのは、
お父さんご本人です。

 

毎日、その場所でご飯を食べ、
毎日、スタッフと言葉を交わし、
毎日、なんらかのお世話をしてもらうのは、

ムスメさんではなく、お父さんなのです。

だから、
お父さんが体験入居してみて、
『ダメだ』
と判断した施設は、
どうしたって
『ダメ』
なのです。

 

じゃあ、
ムスメさんや私の
「根回し」
で、
「ダメ」が「オーケー」
に変わったでしょうか?

それもノーです。

 

なぜなら、ムスメさんも私も、
できる限りの根回しは、
既にやり、
ベストを尽くした上での結果だからです。

もちろん、
仲介業者の方も。

 

お父さんの「ダメ」を無視して、
強引に説得したところで、
「ダメ」なところを、
なんとか
「ゴマかした」ところで、
上手くいく筈はありません。

 

だって、
当のお父さんの毎日の生活を、
「ずっとゴマかし続ける」
事なんて出来ないのですから。

 

「ゴマかす」のではなく、
ご本人が
「納得」し、「了解」
しなくては、
上手くいかないと思うのです。

 

今、世の中には
たくさんの有料老人ホームがあるけれど、
100点満点の希望がかなう施設なんて、
あるはずがありません。
そんな事は、わかりきっています。

 

「ダメ」なところがあったとしても、
高齢者ご本人が、
ご自身の気持ちに、
折り合いをつけ、
妥協点を見出し、
たとえ100点満点でなかったとしても、
「納得」
して選んだ施設であれば、
希望が持てるのではないでしょうか?

 

ご本人にとっての、
「100点満点!』
が出るのは、きっと、
長年暮らしたご自宅なのでしょうから。

 

そして、万が一、
契約してから
「ダメ判定」になったとしても、
それは、そのとき出来る対応をすれば良いのです。
クーリングオフだってできるのですから。

 

さて、
そんな、
老人ホーム探しの中での、
不思議なエピソード。

お二人それぞれ、
別のタイミングで、別の場所で、
私に、同じエピソードを語って下さったのです。

ムスメさんが、まだ小さい頃の思い出話です。
最初は、お父さんの口から。

『M子は、保育園を嫌がってね。
保育園の中で、1日中泣いてたんだよ。
心配でコッソリ窓から覗くとね、
他の子は元気に遊んでいるのに、
M子だけが、ずっと泣いてるんだよね。
あの時は、困ったなぁ・・・』

と、懐かしそうに話すお父さん。

(ん・・・??  それ、いまのご自身の状態では)

と心の中で、思わずクスッと笑ってしまう私。
別のタイミングで、
ムスメさんの口から。

「あのね・・・。
私、保育園が嫌で嫌で、毎日泣いて。
それで、
親がついに根負けしてね、
保育園を辞めた事があるの。
ずーっと忘れていたんだけど、
父の施設を選んでいるうちに、
なぜか、急に思い出したのよね、その時の気もちを。
今の父親は、
あの時の私みたいな気持ちなのかなぁ?って思う・・・。」
と。

 

それを聞いて、私は仰天。

父とムスメが、
同じエピソードを、それぞれ別の場所で、
話されていたからです。

不思議なシンクロですね!

しかも、
父とムスメさんは、
お互いに、その話をした事はないそうです。

ムスメさんだって、何十年も忘れていたエピソードだし、
お父さんがそんな事を覚えていた事自体に驚いたとのこと。

『だいたいね、父親とそんな話する事なんてないしねー。』
と。
親子って、不思議ですねーーー!
と、
ムスメさんと2人で笑ってしまいました。

そして、
なんと、
このエピソードには続きがあるのです。

保育園を嫌がって退園した翌年、
再び、保育園に挑戦したムスメさん。

この時は、初日から楽しく保育園に馴染む事ができ、
保育園に行くのが楽しくて仕方なかったそうです。

「不思議よねぇ!
最初の年は、
なんであんなに嫌だったんだろうねぇ??
どうしてなのか、
よくわからないけど、
きっと、なんかあるんだろうねぇ!」
と、
笑っていらしゃいました。

なるほど、
お父さんが、
「ダメ」という施設には、
きっと
”なんかある”
のかもしれません(^◇^;)

深いなぁ・・・。

そんな、
いろんな出来事の中から生まれた、
ムスメさんの言葉、

『TRY! TRY! TRY!』

度重なる帰省で、
ココロもカラダもクタクタな筈なのに、
シンプルで前向き!!

本当にステキなのです!

ずっと、忘れられない言葉になりそうです。

私にとっても、
まさに、
『TRY!TRY!TRY!』

明日は、
午前中から、
新たな施設の見学に同行させて頂きます。

「ポジティブなパワーには、
きっと、
幸運が舞い降りますね!
一緒にがんばりましょう!」

私が書いた返信です。

さあ、明日もがんばろう!!!

そして、
私自身も、
いろんな経験をさせて頂きながら、
もっと成長したいです!

 

(以上、ムスメさんの許可を頂いて匿名で掲載しております)

 

 

施設選びの条件は、ご家族様によってそれぞれ違います。
高齢者ご本人の意にそぐわなくても、
その施設を選ばざるを得ない場合もあるでしょう。

 

実際に、
私の両親の場合は、
有料老人ホームの費用を出すなんて、
経済的にとてもムリでした。

遠距離介護をされてるご家族の皆様にとって、
それぞれに「納得」出来る選択でありますように。

または、
心の底からの納得は出来ない状況だったとしても、
「納得していない」という状況を、
受け入れられる選択でありますように。

ABOUT ME
ちえさん
遠距離介護のケアミーツ代表