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高齢者ドライバーの事故と認知症家族の悩み。認知症の父のバイクを廃車にした話

こんにちは。ちえです。

お久しぶりの投稿です。

どうしても、書きたくなりました。

ウチの父の実話です。

重い話なのですが、お付き合いください。

 

また起きた!高齢者ドライバー事故と、奪われた命の重さ。家族の責任。

 

30代の母親と3歳の命が、突然奪われてしまった。

テレビでご遺族の映像を見るたびに、胸が苦しくなる。

ネットでは、いろんな意見が飛び交っている。

「家族にも責任があるだろ!」や「高齢者から一律に免許を取り上げろ!」という、過激な意見まで。

 

ワタシは

「家族の責任」というコトバに、つい敏感になってしまう。

 

それは、ワタシが

「家族の責任」に、長い間、怯えて暮らしていたからだ。

 

「認知症の父が乗るバイクが、いつか、他人を傷つけてしまうのではないか?」

それは、遠方で忙しく過ぎて行くワタシの日常を、ときどきギュ~っと暗く不安にさせた。

まるで、行く手にそっと仕掛けられた、見えない落とし穴に怯えるように。

 

父のバイクを止められないまま、数年が経ったある日、

ワタシは、父の「乗り物」を二つ処分した。

 

認知症の父の船を廃船にするまで

 

一つ目は、父が釣りに使っていた船。

小さなボートに、小型の船外機を取り付けただけの船だ。

 

父の認知症がすすみ、釣りに行かなくなってからは、

島の港の端っこで、その船はゆっくりゆっくりと静かに朽ちていた。

 

私はいつのまにか、船の存在なんてすっかり忘れて

時が経てば、船は砂のようにサラサラと自然と消えてなくなるような気さえしていた。

でも、現実はそうはいかなかった。

 

台風が来て港が荒れると、ご近所さんから苦情がきた。

放置船が他の船を傷つけることもあるらしい。

 

慌てて廃船の手続きをすることになった。

 

廃船にすると聞いた父は、猛反対して、烈火のごとく怒り狂った。

「俺のフネだ!! 絶対に捨てさせない!」

「もう、乗らないでしょ?」とか

「危ないでしょ」とか

「みんなに迷惑をかけるでしょ」とか

そんな言葉に納得するはずもない。

 

父の承諾を待っていては、永久に船の処分なんてできないので、

半ば強引に処分した。

父はもう一人で港まで見に行けないのだから、船がなくなったことに気づくはずもない。

それはある意味、都合がよかった。

 

ところが、

船を処分からしばらくして、業者さんから苦情が入った。

父が、「俺の船を勝手に捨てやがって!」と何度も怒鳴りこんだそうだ。

ほんとうに申し訳ない。

 

そう聞いても、1200キロも離れた遠方に住むワタシには、ただ謝ることしかできなかった。

そして、ため息をついた。

父の行動は全て、「家族の責任」なんだろうな・・・。

 

でも、だからといって、なにができる?

これ以上、父が暴れないように、遠くから、ただただ、祈るしかなかった。

 

認知症の父のバイクを廃車にするまで

もっと厄介だったのは、父のバイク(ヤマハの3輪バイク)を廃車にした時だった。

船と違って、いつも父の目に触れるところにある。

 

父は、認知症の症状がでてからも、時折バイクを乗りまわしていた。

「オレ様のバイクは、よく走る!!」と自慢しながらブンブン走る。

ムスメの注意など、アッサリ聞き流し、運転を止める気などサラサラない。

 

そんなある日、横浜にいるワタシの家の電話が鳴った。

島にある交番のお巡りさんからだった。

「父の危険運転が問題になっている」という話だった。

 

父はいつの間にか、島の交通法違反ブラックリストに載っていた。

悪質な違反者は島内に5名ほどいて、そのうちの1人が父だった。

信号無視はあたりまえ、注意してもきく耳をもたない。

住民からの苦情もあるという。

「早急に帰省して対策をします。」

そう言って、電話を切った。

 

帰省したワタシは、さりげなく父に話してみたが、

父は案の定、運転を止める気なんてサラサラなかった。

父の性格を考えると、真正面から対応してもうまくゆくはずなんかない。

 

交番に行き、お巡りさんと話をした。

口調は穏やかだけれど、状況はかなり切迫していた。

「お父さんが自分で怪我をされるのは仕方ないにしても、巻き込まれる人がでたらどうされますか?」

お巡りさんにそう言わせるほど、深刻だということだ。

 

ワタシは、父に気づかれないようにバイクを壊すことにした。

配線を切り、エンジンがかからないようにした。

「バイクが動かなくなった!」と父が言うので、

「じゃあ、修理にだそうね」といって、業者に取りにきてもらった。

もちろん、父は大荒れしたが、そうするほかなかった。

 

そして、

船のことも、バイクのことも、ごく少数の親族にしか話すことはなかった。

 

バイクを壊したことを犯罪だと言われたこと。家族はどこに救いをもとめればよいのか?

 

それから、数年の月日が経ち、認知症の父を看取り、

ワタシは、遠距離介護の家族サポートの仕事をはじめた。

 

そんなある日、

介護家族の集会で、「高齢の親の運転をどうやってやめさせたらよいのか?」と苦悩している家族に出会った。

ワタシは、体験談の一つとして、ウチの父の話をした。

 

肯定的な意見もある一方、

次の一言で、その場の空気が、凍りついた。

「あなたのやったことは、犯罪ですよ。親の財産を無断で壊したり処分したわけですよね?」

 

確かに、そうかもしれない。

そんなことは、わかっている。

だからこそ、それまで、その事実を口にすることもなかったんだと思う。

 

そして、なによりショックだったのは、

ごく少人数の同じ悩みを抱える介護家族の集まりなのに、

ここでさえも、自由にホンネがいえる場所ではなかったことだ。

 

高齢ドライバーが事故を起こせば、家族はナニをしていた?と責められる。

やむにやまれず対策をすれば、それはそれで、「犯罪だ」と咎められる。

ひとつ言えるのは、それでも家族がやらなければ、一体だれがやるんだ?ということだ。

 

認知症の父の人生も、

ひょっとしたら父のバイクによって命を奪われたかもしれない誰かの人生も

家族であるワタシの人生も、守ることはできない。

家族がそこまで苦悩していても、安心して本音を言える場所なんて、ほとんどない。

 

さいごに

「世の中の正しさって、なんだろう?」

遠方に認知症の親を持ち、日々途方にくれる家族からの相談を受けていると、

ワタシはいつも、疑問に思う。

 

「高齢者本人の権利」が尊重されるのはもちろん素晴らしいことだけれど、

「家族の責任」に、日々、怯えて暮らす家族の心労は、誰がケアすればいいのか?

 

「どこに相談しても、聞きたかったコトバはかけてもらえなかった。

ココだけが、ホンネで話してくれた。」と泣かれたこともある。

そんな方に会うたびに、

「この人は、かつてのワタシだ」と思ってしまう。

 

そして、

「あなたのやったことは犯罪ですよ」と言われた、あの瞬間を思い出す。

思い出しながら、

ちっぽけなイチ個人であるワタシは、いつも考えている。

 

世の中がつけた「正しさ」というモノサシと、親介護の現実の狭間で苦悩する人を

いったいどうしたら救えるのだろうか?と。

 

ちいさなちいさな、相談窓口を開きながら、今日もひとり考えている。

 

やすなみちえこ

 

遠距離介護でも大丈夫!

なんとかなりますよo(*゚▽゚*)o

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離れて暮らす家族を全力応援!

遠距離介護のケアミーツ@横浜

http://care-meets.com
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