Chie袋トップsp用

高齢者の誤嚥性肺炎の治療はしない??家族として決断できますか?

誤嚥性肺炎 入院
誤嚥性肺炎 入院

今年(2017年)の4月に日本呼吸器学会から、
肺炎の治療に関するガイドラインが発表されました。

高齢者の誤嚥性肺炎に関して、
「治療をしない選択」
もあることが提示されたのです。

今回は、このことについて触れたいと思います。

高齢になると、飲み込む力が衰えてしまい、
食べ物を飲み込む際にむせてしまう事が多くなります。

普通なら、
飲み込んだ食べものは食道を通って胃に送られるのですが、
喉の筋肉が衰えると、
うまく食道へ送る事が出来なくなり、
食べ物が肺の方へ入ってしまうのです。
これを誤嚥(ごえん)といいます。

誤嚥すると、
食べ物や唾液と一緒に、バイ菌も肺に入ってしまい、
誤嚥性肺炎を起こす原因となってしまいます。

誤嚥性肺炎がなぜ困るのか?

それは、
免疫力が衰える高齢者にとって、
命を落とす原因となってしまうからです。

厚労省の統計によると、
肺炎は、
70代の高齢者の死亡原因で、4位!!
(1位:癌 2位:心疾患、3位:脳血管疾患です)

それが、
80代の肺炎は、死因の3位
90代の肺炎は、死因の2位となっています。
(ちなみみ、90代の死因1位は心疾患です)

年齢が上がるごとに、
肺炎が原因で亡くなる確率が高くなるのです。

そして、
高齢者が肺炎になる原因のトップが、
誤嚥性肺炎と言われています。

高齢になり、
ましてや、寝たきりに近くなってくると、
どうしても避けられない問題なのです。

すでに他界した私の父と母も、
最後は、食べ物が飲み込めず、
誤嚥性肺炎を繰り返しておりました。

看取りの前には、
食べ物どころか、
自分の唾液さえ上手く飲み込めなくなってしまうのです。

私の父の場合は、
食べる事が大好きな人で、
最後まで食に対しては貪欲でした。

口に食べ物は入れるのだけれど、
どうしてもむせこんでしまいます。

父の場合は、
もともと、肺気腫を持病として持っており、
片方の肺はほとんど機能してない状態でした。

それなのに、
残ったもう片方の肺も、
誤嚥性肺炎を繰り返してしまうのです。

なので、毎回、命の危機。

肺炎になる度に、
入院して、抗生剤治療。

それでも、
父は何度も、
奇跡の回復力を発揮し、
復活して、施設に戻る事ができました。

でも、
退院してしばらくすると、
誤嚥性肺炎で再び入院してしまう。

その繰り返しでした。

遠距離介護をしていた私は、
その度に、
急遽帰省する事になります。

こうも繰り返すと、
治療する医師も、
さすがに、
モチベーションが下がります。

「また、繰り返しますよ!!
もう、高齢ですからねー!
治療しても治らない事は理解してくださいねーっ!!」

と、
うんざりムード満載で、
なぜか、半ギレで言われたりするのです。

家族としては、
『そんな事言われなくても、わかってマスヨ・・・』
『だからといって、どーすればイイノヨ・・・・。』
と思ってしまいます。

お世話になっていた施設の介護士さん達は、
それはもう、恐縮してしまうくらいに、
誤嚥させないように、
慎重に食事介助をしてくださっていました。

飲み込みやすいように、小さく刻み、
トロミをつけ、
お茶に至るまでトロミをつけて、
スプーンで食べさせてくださいました。
ほんとうに頭がさがります。

それでも、父は、
上手く飲み込めず、
むせてしまうのです。

”胃瘻は絶対に作らない”
と決めていましたので、
こうなると、
誤嚥を覚悟で、ギリギリまで頑張るしかありません。
(胃瘻の事については、また別の機会で触れたいと思います。)

『誤嚥しても、それは、もう、仕方ないです。
介護士さんのせいではないのです!
家族としても、十分承知しているし、覚悟はしています。』

と、
施設側と家族とで、
共通の認識を持った上で、
お世話をお願いしておりました。

そして、肺炎を繰り返す毎に、
父の体力もQOLも落ちていきました。

最終的に父の死因は、”老衰”
という事でしたけれど、
おそらく、
誤嚥性の肺炎が原因であったのだろうと思います。

でも、88歳まで天寿を全うした父。
最終的な原因なんて、
肺炎でも老衰でもどちらでもよいのです。

父は十分に介護して頂き、
十分に命を使い切ったのだと、
娘としては感謝しています。

さて、
ちょっと話が長くなってしまいましたが、
今日の本題です。

今年(2017年)の4月に日本呼吸器学会から、
肺炎の治療に関するガイドラインが発表されました
(成人肺炎診療ガイドライン2017)。
このガイドラインでは、高齢者の誤嚥性肺炎に関して、
「治療をしない選択」もあることが提示されています。

これは、なんでもかんでも抗生剤漬けの日本においては、
かなり衝撃的です。

お医者さんのブログでわかりやすく書いてくださってたので、
抜粋させていただきました。

細菌性肺炎は、一般に、抗菌薬によって治療可能な良性疾患である。
しかし、(途中省略)老衰の過程のある人に起こった肺炎は、
死亡の契機となったり、
病状が改善したとしても病前の状態に復帰できず
むしろ耐え難い苦痛や不快感が持続する、
あるいは繰り返す可能性がある。
そこで、終末期の患者の肺炎の診療に際しては、
まず、個人の意志の尊重を最優先とする。

肺炎を治療しない選択


より抜粋

病状が回復した(肺炎そのものは治った)としても、
病前の状態には復帰できないという点では、

父を看ていてとても実感できます。

また、
本人の意思確認ができない場合は、
本人の意志をよく知る家族が本人に代わって判断することを尊重する。

とあります。
家族の判断。
家族に課せられた判断の重さは、
ほんとうに辛いものだろうと思います。

そして、以下のように結ばれています。

高齢者の肺炎は老衰の結果として起きるものであり、
それは避けることができない
「人間としての最期の姿である」
という認識を持たなくてはいけない。

と。
日本呼吸器学会が、このガイドラインを出したことは、
とても衝撃的でした。

父が誤嚥性肺炎を繰り返し、
その度に、
入院治療で多額の医療費を使わせていただいている、
申し訳なさ。

しかも、
せっかく治療して頂いても、
退院して口から食事を食べるようになると、
再び誤嚥してしまう・・・。

どんなに喉のリハビリをしたところで、
どんなに慎重に食べさせたところで、
”誤嚥しなくなる見込みなんて、ほぼゼロ”
という、なんとも希望のない虚しい繰り返し。

だからといって、
食べたい意欲がちゃんとあって、
ご飯の時間が待ちきれないほど食べる意欲が
ある父を前にして、
誤嚥して肺炎になったからといって、
「肺炎治療をしません。」
と、
どの時点で決断できたのでしょうか?

しかも、
遠距離介護をしていると、
ずっとそばにいる事も出来ないし、
判断のタイミングにも困ってしまう事が多いのではないでしょうか?

ここ数年で、急速に、
「胃瘻をつくらない」
が、スタンダードな選択になりつつありますが、

これからは、
「誤嚥性肺炎の治療はしない」
という選択肢もスタンダードになってゆくのでしょうか?

家族にとっては、非常に難してくて、
非常に苦しい決断ですね。

いざ、
その決断をしなくてはいけないその時に、

高齢者の肺炎は老衰の結果として起きるものであり、
それは避けることができない
「人間としての最期の姿である」

と、思えるかどうかは、

あらかじめ、

情報と知識を持っているかどうか、
そして、
十分に考える機会があったかどうかが
大きく左右するのではないかと、
私は思います。

今日は、そんな思いから、
このブログを書いています。

遠距離介護をしていて、
いつか、
そんな場面に直面した時に慌てないために、
皆さまのご参考になれば幸いです。

 

厚労省 年齢別死因
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html

誤嚥性肺炎 入院

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です