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家族信託よりも生前贈与を選んだ3つの理由〜わが家の認知症対策〜

義父(埼玉)の遭難事件の後、
「なにか対策をしておいたほうがいいよね・・・・。」と、
にわかに不安になった我が家。

今までは、「われ関せず・・・」という感じだった義父も
「家の名義は変えておいたほうがいいな・・・」と言い出す始末。
さすがに遭難事件はこたえたようです。

「 義父が行方しれず + 認知症の義母が残される 」

もしも、そうなっていたら、大変でした・・・・(^◇^;)

そんなザワザワした事情もあって、
今のうちに、
義父名義の家土地を、長男名義に変更しておくことになりました。

そこで、調べたのが「家族信託」です。
認知症対策として、今、にわかに注目を集めていますね。

早速、「家族信託」と「生前贈与」の二つを比較検討。

我が家では、最終的に
” 相続時精算課税制度を利用した「生前贈与」”
という手段で、家土地の名義を長男(夫)に変えました。

「生前贈与」を選んだ理由は、

①費用
②手間
③効果

において、「家族信託」よりも有利だったからです。

調べてわかったのは、

「家土地が1000万円以下だったら、生前贈与のほうがよい」

という結果でした。

条件は、以下のとおりです。

【シミュレーション条件】
家土地の名義変更(80歳親→子。預貯金は含まない)
土地価格800万円+建物200万円
相続時精算課税制度を利用(生前贈与の場合)

今回の投稿では、比較した結果を共有したいと思います。

※わかりやすさを優先するため、専門用語はなるべく避けて書いています。
正確な表現ではないところがありますがご容赦ください。

費用の比較

手続きにかかる費用の内訳は、大まかに、次の3つです。

①税金
・登録免許税(登記するための税金)
・不動産取得税(不動産を取得する時にかかる税金)
・印紙証紙代、印鑑登録証明などの費用

②手続き費用(司法書士さんの報酬)

③証明書や印紙代

「家族信託」と「生前贈与」のどちらを選んでも、
最終的(所有権やそれに纏わる利益が子に移転するまで)
にはどちらも上記の費用はかかります。

違いは、

・費用が発生するタイミング
・税率の違い
・司法書士さんの報酬額

がそれぞれ異なることです。

ざっくりいうと、

▶︎生前贈与
税金=高い
司法書士報酬=安い

▶︎家族信託
税金=安い
司法書士報酬=高い

です。

「生前贈与」による家土地の名義変更は、
一般的に広く行われており、手続きも明確なのに対し、

「家族信託」の場合は、
まだまだ専門家の間でも取り扱う実績が少ないこと、
信託内容の調査や契約書の作成に専門的知識と手間がかかること
などが
司法書士報酬が高くなる理由だと思われます。

調べた結果、
不動産の評価額(家土地)が1000万円以下では、
生前贈与のほうがトータル金額が安くなることがわかりました。

仮に、土地800万円、建物200万円の不動産の場合、
以下の表のような結果になります。

 

 

ちなみに、税金(登録免許税や不動産取得税)は、
不動産の価格によって変わるので、
家土地が安ければ安いほど、
生前贈与にかかる総費用は安くすみます。

一方、
家族信託の場合は、もともと税金は安くすみますが、
司法書士報酬が高い(最低ラインが50万円程度)なので、
どんなに不動産が安くても総費用が50万円を切ることはないようです。
(10箇所程度リサーチ。不動産が1000万程度の場合で比較)

なお、税率は以下の通りです。

【2017年12月時点での税率】
・登録免許税(国税)
土地建物の評価額の合計に1000分の20をかけた金額
・不動産取得税税(地方税 ※2017年12月時点、埼玉県の場合)
土地:評価額の2分の1に1000分の30をかけた金額
建物:評価額に1000分の30をかけた金額

不動産取得税は、地方税なので地域によって変わります。
埼玉の場合、2018年3月までは、土地に関してはなんと50%オフです!
(”土地の評価額の2分の1に”という部分です)
その後延長されるのかどうかは????ですが・・・・。

ちなみに、
私の出身地、長崎の例を調べてみたところ、

2018年4月からは4%になっていました(1000分の40)

おー・・・・!(◎_◎;)
4月から税金が値上がりするのかな?
こんなところに地域格差があるなんて、
驚きです・・・・。

また、
登録免許税(国税)=評価額をもとに計算
不動産取得税(地方税)=路線価(実勢価格)をもとに計算
となっています。

計算のもとになる数字が異なるので、注意が必要です。
実家付近の土地が高騰している場合は、あらかじめ調べておくことをお勧めします。

なお、毎年かかる固定資産税ですが、

▶︎「家族信託」
信託により不動産の名義が子に変わっても、「受益者」が親なら、親に固定資産税がかかる
▶︎「生前贈与」
所有権が子に移転しているので子に固定資産税がかかる
のようになります。

手間の比較

単純に
「親が判断能力がなくなる場合(認知症など)に備えたい」
という目線で考えると、
手間がかからないのは、圧倒的に生前贈与です。

名義変更(所有権移転)が一度の登記で済みます。
必要書類などを事前に揃えておけば、
事務手続きそのものも一回で済みます。

我が家の場合も、
司法書士事務所に出向いたのは、
たったの一回です。
その12日後には、
手元に名義変更された登記書類が届きました。

一方、家族信託の場合は、

①信託開始の登記
②信託終了の登記(親が亡くなった時)

以上、最低でも2度の手続きが必要ですし、
信託財産を管理している間も帳簿つけなどの手間がかかるようです。
一般的な流れとしては、
信託開始により、”名義は子にうつるけど財産の利益は親のもの”
という状態になり、
”信託終了時(親の死後)に相続が完了する”という感じのようです。

なお、「生前贈与」でも「家族信託」でも
司法書士さんとの手続きには、かならず一度は親の同席が必要です。
(判断能力や意思の確認)

効果の比較

「親の代わりに、親の家土地の管理をする」
ということに限って言えば、
最終的な効果は、「家族信託」でも「生前贈与」でも、
変わらないと思います。

ただし、
複数の事務所で言われたのは、
「ただ単に、名義変更だけなら・・・、生前贈与のほうがいいですよ」
でした。

不動産が1000万円以下の場合、
家族信託のメリットがあまりないからです。

家族信託のメリットがでるのは、
・アパート経営などの収入がある
・所有資産が多い、
・相続問題が複雑
などの場合のようです。

信託契約の書き方によっては多様なバリエーションが可能で、
信託する人(親)の希望が反映されやすいからです。

総合評価

以上のように、

「家族間で相続の意思確認がしっかりできていて
(親も希望していて)、
不動産価格が1000万円以下なら、
手間が一度で済む生前贈与を選んだほうが良い」

という総合評価になりました。

一方、
家族信託の場合は、
まだどこの司法書士事務所も手探り状態のため、
適正な費用の基準も曖昧な印象です。
判例もほとんどないですし、
情報を調べてみても明確なものはみあたりません。

また
基本料金が20万円程度であっても、
契約書作成料etcを加算すると、
だいたい50万円くらいになってしまいます。

家族信託に詳しい専門家が少ないために言い値市場になっているのか、
もしくは、
調査や契約書作成に膨大な手間がかかるためなのか、
その詳細は、素人にはよくわかりません。
正式な書類で公証人役場に届けるべきだという記載もあれば、
簡単な書類と署名があれば家族信託は成立しますという本もあったりします。

なので、
手続きの際には、かならず専門家(司法書士事務所)にご相談するようにしましょう。

▶︎おまけの話

我が家の場合は、
信頼できる司法書士事務所に出会えたおかげで、
ノンストレス、スピーディー、
その上、もっとも良心的な費用で手続きができました。

的確なアドバイスや、書類の指示、
疑問点の解消もしていただいて、
家族全員が大満足です。

埼玉の方、ご連絡いただければご紹介しますね!
ちなみにこれは営業ではありません(笑)

また、余談ですが、
税務署に問い合わせたときの話。
電話口にでた担当者も家族信託にはあまり詳しくない様子で、
「私は・・・・、まだ、一般の方の家族信託の事例は聞いたことがないんですよね・・・。
企業とか、不動産経営の方とかはあるようですが・・・・・。」
とのことでした。

なるほど、
家族信託は、一般家庭での例数がまだ非常に少ないというのが
わかりました。

調べてみないとわからないことが沢山ありますね。

以上、いかがでしたか?

「親が認知症になった場合、家の管理はどうしよう?」
「家族信託と生前贈与、どちらがよいの?」

と悩まれてる方の参考になれば幸いです。

忘れてはならないのは、
「今後のため」とはいえ、親の家を勝手に子の名義にはできません。
ご家族でじっくり話しあわれて、家族みんなが納得する方法を
探していただけたらと思います。

実際の手続きの様子などは、
おいおいご紹介していきたいと思っています。

大丈夫!遠距離介護でもなんとかなりますよ!

遠距離介護のケアミーツ  Chie
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