回想録

親の介護に、自分の時間(=いのち)をどれだけ使うかという難しい問題。日野原医師の命の授業が教えてくれたこと

聖路加国際病院の日野原重明先生が、

先日、
天国に旅立たれました。

 

日野原先生は、
医師としての功績はもちろん、
先生が残された数々の言葉は、
たくさん患者さんの心を癒し、
勇気づけてこられました。

 

私も、
先生の言葉に影響を受けた1人です。

 

貴重な教えを頂き、
ありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

先生が長年に渡り、
小学生に教えてこられた、
『いのちの授業』

 

今回は、日野原先生が世の中に発信し続けた、
『いのちの授業』

『いのちとは、自分が使える残り時間のこと』

 

について、

 

遠距離介護の日々の中で感じた、
私の思いを、
書きたいと思います。

看護学生だった私には、有名すぎる大先生

私が日野原先生の存在を知ることになったのは、
看護学生の頃です。
かれこれ、30年も前の話です。

 

今思うと、
日野原先生は、
その時すでに、
75歳になられていた筈です!!
その事実だけでも凄いことですね。

 

ともかく、
日野原先生は30年前当時も、
医療関係者で知らない人はいないくらい有名な方でした。

 

看護学校の教科書はもちろん、
数々の看護書をお書きなられたり、
監修されたりしておられたので、
毎日のように、
お名前を目にしていました。

 

『聖路加といえば、日野原先生!』
と、

 

まるで、
カルタ取りの上の句と下の句みたいに、
30年前にして、
有名すぎる存在。

 

それなのに私は、
看護学生当時も、
看護師として働き始めてからも、

日野原先生の本の内容を、

全く覚えていません。

本当に勿体ない話ですσ(^_^;)

時を超えてなお、日野原先生にココロをうごかされる

その後、
私は、
病院勤務を離れ、

10年以上の歳月がながれ、

たまたま目にしたテレビに映った
日野原先生の言葉に、
大きくココロが動かされることになります。

それが、
『いのちの授業』
でした。
私自身が大病をして、
手術をうけ、
自宅療養していた頃です。

 

自分の命の残り時間を意識する経験をすると、

 

その途端に、
特殊なアンテナが機能し、
キャッチするべき話題をすかさずキャッチできるようになるのでしょうか。

 

今までスルスルと私の横を通り過ぎていた言葉たちが、
途端に、
ココロの深い部分に響くようになるなんて、
なんとも不思議なものです。

日野原先生の
『命の授業』とは、
簡単にいうと、
こんな内容です。

 

『命って、なんだと思う?
それはね、
君達が自由に使える残り時間の事なんだよ。』

と。

纏めるとたったの3行。

(私の記憶をもとに書いているので、
ニュアンスがちがっていたら、ごめんさない・・・)

 

非常にシンプルで、
それ以上にない素晴らしい表現です。
命とは何か?
という問いに対する答えとして、

これ以上に、
明確で、
シンプルで、
真実を捉えた表現を、
私は知りません。

 

子供達に語りかける日野原先生をみて、

しかも、
40歳を過ぎて、
初めて、

あ、そうか!!

命とは私が使える残り時間の事なのだ!!

と、

私は、
そのアタリマエの事に、
アリアリと、
リアルな現実感を持って、
認識する事が出来たわけです。

ハッとしすぎて、
ココロが急にざわめいて、
なぜだか焦ってしまった瞬間でした。

 

今まで、
なんで気がつかなかかったんだろう・・・?
と。

翌日からは、
早速、
友人達に
日野原先生の命の授業って知ってる??

と、
テレビのまんまの受け売りで、
熱く語り始めました。

(ウンウン、そうだね!!と、

病後の私に付き合ってくれた親愛なる友人達、
ありがとう!)

 

思い出すと笑ってしまうのですが、
その当時の私は、
まるで
『命の授業伝道師』という感じでした(o^^o)

 

もともと、根が単純なのかもしれませんσ(^_^;)
というか、

”ハッとした”
のは私だけで、
みなさんは、
「そんなのアタリマエじゃん!
なにを今さら?」
と思っているのかもしれませんが・・・(^◇^;)

まぁ、
なにはともあれ、
それからの私は、
介護で悩んでいる方に出会っては、
自分の時間も大切にするべきだと、
話すようになっていきました。

 

それまでも、そうだったけれど、
より一層・・・(笑)
しかも、
日野原先生の教えがちょっと(いや、かなり?)
変形してしまった、
自分流の解釈で・・・(笑)

いま、親の介護に苦しんでいる方へのメッセージ


親の介護のために、

自分の時間(=いのち)を使いきって、
疲弊しないでください。

親をないがしろにしろといっているのではありません。
親を大切に思うのと同じように、
ご自身のことも、
大事にしてほしいのです。

だって、
時間は、
あなたの命そのものなのですから。

 

ただし、
自分がそうしたいときめて、
納得して使う時間については、
たとえ、それが
困難な事だとしても、
受け入れて寄り添うのはもちろんアリです。

 

納得して自分が決めた事であれば、
それは、
自分の命の使い道なのです。
そして、

 

目の前の介護がどんなに大変な時でも、
自分の時間(=いのち)は、自分のもの!
自分の時間(=いのち)をコントロールするのは、自分!

そんなふうに、
自分のココロの中にしっかりと決意する事が大事だと、
思うのです。
介護放棄ではありません。

 

周りに助けを求めて、
その時に使える介護サービスなどを利用し、
自分の時間のなかでの抱え込み過ぎを
少し整理すればよいのです。

 

でも、
そう思ったところで、
現実は変えられません。
親の介護という現実が、
魔法のように消えて無くなるわけでもありません。

 

だけど、
少なくとも、
親にコントロールされて自分の命である時間を使うのではなく、

 

自分の時間(=いのち)は自分でコントロールしている!

 

そう思うだけで、
見える景色は変わるのではないかと思うのです。

私もそうやって救われました

実際に、
そんな風に考えるようになった時、

私のココロにも変化が生まれました。

どんなに精一杯やっても、
消えることがなかった、
遠距離介護への後ろめたさ
と、

「もうクタクタ、もうこれ以上は無理!」

という、正直な気持ち、

 

そんな、
心の中の葛藤から解放されたのです。

そして、
『命とは自分が自由に使える残り時間』
だと、
ストンとココロに落ちたその時から、
遠距離介護の心理的辛さも、
かなり軽くなりました。

 

自分にできる事には限界があり、
使える時間にも限界がある。

 

それは、
私が悪いわけではない。

 

仕方がないことなんだ、
と、

ココロの縛りがホロっとほぐれた瞬間でした。

父も母も、
80年分もの自分の命(時間)を、
充分に使えたのだと思えたからです。
その時間の中身が、
喜びで満たされたものであっても、
苦しみの方が多かったとしても、

 

それは父と母自身が自ら選び、
使ってきた時間なのです。

 

そこには、良いも悪いもありません。

 

私だって、

 

他人から、
良い人生、悪い人生、可哀想な人生、
まぁまぁの人生、
なんて、
ランク付けされたくないように、

 

父と母の人生もまた、
それぞれに、
自分の時間(=いのち)を
自分の思うように使った、
かけがえのない
唯一無二の人生であると思うのです。

 

だから、

介護をする
娘や息子だって、

遠距離介護に関して、
後ろめたさを感じる必要もないのです。

自分のいのちの時間は自分の責任の中にあり、
親のいのちの時間は、親だけのものなのです。
繰り返しますが、

 

自分の時間(=いのち)は自分のもの!
自分の時間(=いのち)をコントロールするのは自分!

 

そう言葉に出してみてください。

 

そして、
自分は自分の人生を、生きるべきで、
幸せになって良いのだと、
自分に言ってあげましょう!

 

絶対に、
自分の人生を諦めないでください!

 

もしも、
このブログを読んでくださってる方で、
ご自身で言えない方がいるなら、

 

私が代わりに言います!!

 

大きな声で、応援します!!

 

あなたはあなたの命の時間を、
あなたの思うように使うべきです。
幸せになって良いのです!
あー、スッキリしました!!
親の介護に悩んでいる方がいたら、
いつでもかけてあげたい言葉なのです。

 

そして、
私自身が、
誰かに言って欲しかった言葉です。

 

日野原先生の命の授業には
続きがあります。
先生は
命の使い方について、
子供達に語りかけます。

「他人のために命を使える人になりなさい」
・・・・と。
でも、

 

このブログを目にしている方達は、
もうすでに、
十分に頑張っているのではないですか?

 

だから、
むしろ、自分の命の時間を、
諦めないで欲しいなぁと思うのです。
私自身も、そうありたいです。

自分が元気でないと、
周りを元気にすることなんてできないから・・・。

 

自分が元気でないと、
遠距離介護も続けられないから・・・・。

ずっと忘れない!日野原先生の本気の講演に感動

以前に、

日野原先生の講演を聴いた事があります。

今から5年前の事です。

 

大宮ソニックシティの
大ホールのステージを、
右に左に移動しながら、
両手を広げて客席に語りかける様子は、
実にエネルギーに溢れていて、
圧倒されました。

 

その学会の演者の誰よりも、
張りのある声で、
ぐいぐいと聴衆を引き込んでいきます。

 

その存在感の大きさに、
感動したのを覚えています。

 

自分の全身全霊を使い、
真剣そのものなプラスのエネルギー。

 

あぁ、この人は、
真剣に何かを伝えようとしている!!
本気なんだ!!

そんな気迫を感じました。
そして、
私も、
ひっそりと決意するのです。
日野原先生から受け取った教えをもとに、

私は私なりの解釈で、

 

遠距離介護に悩んでいる人がいたら、

自分なりの言葉をかけてあげられる人でありたいなぁ・・・・と。

 

Chie

 

遠距離介護に悩むご家族をサポートしています。
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遠距離介護のケアミーツ

 

 

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ちえさん
遠距離介護のケアミーツ代表